爪跡

ライブハウスが好きだ。音の鳴りを身体全体で受け止められるから。

でも暴れたりモッシュしたりするようなライブは苦手だ。そういうことをしたいわけじゃない。

自分でもめんどくさいなあと思うが仕方がない。小さめのライブハウスで、客がゆったり聞いていられるようなライブが良いのだ。

 

地元のライブハウスにthe earth quartetと言うジャズバンドがライブにきたことがあった。黒本の納浩一さんがいるバンドというとわかる人も多いだろうか。それは自分の中でも屈指のライブだった。プロの音を全身で感じられる、最高の体験だった。自分が音楽をやるならこんなライブをやりたいと思った。

 

今でも音楽は細々とやっているが、ライブとかそんな域には全く達していない。自分には多分才能はない。でもやっぱり音楽は楽しいし、そこにあるパワーに自分が動かされているような感覚もある。

 

People in the Boxというバンドが昔から好きだ。最近でたアルバム「Camera Obscura」は本当に良いアルバムだ。自分が今まで出会ってきた中でも多分5本の指に入ると思う。そんな風に素直に思える自分に気がついて少し安心する。良いものを良いと思えるうちは、まだ自分が生きているような気がしてくる。旅に出て良い景色を見に行きたいのもそういう、自分の確認をしたいからなのかもしれない。自分はまだ大丈夫だと自分に言い聞かせたいのかもしれない。なんだ案外生きたいと思ってるんだな。まだ死ぬには早いな。

 

音楽を続けるのは、自分を何かの形で残してみたいからなんだろうと思う。生きてるうちに何かを残してみたい。それが自分の中にある根源的な欲求なのかもしれない。そんな気がしてきたし、とりあえず風呂に入って寝よう。明日も生きよう。