素敵な靴を履いて出かけたい

いい靴はいいところに連れて行ってくれる。よくある言葉だ。

それが本当かどうかは分からない。でもちょっといい靴を買って、初めて履いて出かける日はとてもそわそわする。意味もなく少し遠回りしてみたくなる。スニーカーでも革靴でもそう。お気に入りの靴ができると、毎日の徒歩が少し特別な気がしてくる。

 

私は特段靴に詳しいわけではないが、できるだけ自分の感性に響いたものだけを買うようにしている。汎用性のある無難な靴とか流行りの靴、セールでお得に買える靴など、よほど必要に駆られない限りは買わない。その代わり運命を感じたらその場で買う。どの靴も宝物だ。たくさん履いて、シミや汚れのひとつひとつまで楽しみたい。

 

革靴に刻まれるシワは自分の歩いた証だ。ちゃんと自分の足にあったものを選べば、自然で綺麗なシワが入ってくる。たまに手入れをしてやるとまた輝き出す。刻まれた傷は自分の歩きグセだ。スニーカーだってそう。一緒に歳をとって、自分だけの特別な靴になってくれると本当に嬉しい。

 

そんな風に思わせてくれたのは、私の成人式のために母が買ってくれたリーガルの革靴だった。なんなら今でもソールを修理して履き続けている。どんな靴よりも自分に似合っている自信がある、大切な靴だ。流石に内側がボロボロになってきたのでそれも修理しないといけない。でもそうしてでも履き続けたくなる。

 

元からものが捨てられないたちだった。クローゼットには全然きてない服が後生大事にとってあったり、大昔に読んだ本もなんだか捨てられない。そんな私には、安物をたくさん買ってどんどん捨てるよりも、良いものを買って長く使う方が合っている。流行りには乗れ無いかもしれないけど、指さされて何か言われるかもしれないけど、自分で納得できるものを集めていこう。