芋煮と季の美

京都にいた時に通っていたお店を時々思い出す。

 

それは川沿いにあるビルにあった。1週間の各曜日で、朝・昼・夜それぞれ異なるお店が日替わりで運営するという形式を取っていて(タイムシェアカフェとでも言えば良いだろうか)、今でも私の生活する範囲内ではなかなか見ない形態だった。しばらく行っていないが今でもお店は残っている。そこはリバーサイドカフェと言います。リバーサイドカフェという箱の中に、いろんなお店が詰まっている、とても素敵な空間でした。

 

京都に引っ越したばかりの私の部屋にはネット回線がなく、当時はテザリング機能もつけていなかったため、引っ越し当日にやりたい作業ができない状態になっていた。そこで近所でWi-Fiが使えるカフェを探してみると、近所にリバーサイドカフェを見つけた。昔も今でもあの辺りにはスタバみたいな店がほとんどないため、当時は途方に暮れていた。

 

とりあえずパソコンを持ってお店に行ってみる。中に入ると女性の店員さんが2人いらっしゃって、その時はお客さんは他にいなかった。とても落ち着いた雰囲気でおしゃれなお店だった。部屋着みたいな服で出てきたこともあって、店選び間違えたかもな?と思いつつも理由を話すと、快くWi-Fiを使わせてくれた。おかげで提出物が間に合ったので本当に感謝しかない。

ひととおり作業が終わってから少し食べ物を頼んだ。何を頼んだのかは忘れてしまったがとてもおいしかった記憶がしっかりと残っている。その時にカフェの仕組みについて教えてもらった。

 

私の部屋には洗濯機がなかったので、週に1回程度はコインランドリーに行くようにしていた。そして洗濯が終わるまでの1時間程度、リバーサイドカフェに行って少しご飯とお酒を楽しんだ。引っ越したばかりで土地勘もなく、友人もいない環境で、気軽に通えるお店ができたのは本当に救いになっていた。

 

毎週火曜日の夜に通っていた。そこでは山形のお料理と奄美のお酒が楽しめた。対してお酒に詳しくもなかった私にジンの美味しさを教えてくれた。お店の人もお客さんもみんな優しくて楽しい、とても暖かい空間だった。

 

それから数ヶ月経って、火曜夜のお店が入れ替わることになった。もちろん最終営業日まで通った。最後まで素敵なお店で本当に良かった。京都にいた期間の中の数ヶ月と本当に短い間ではあったが、1番私の心に残っているお店なのは間違いない。最後の日は笑顔で写真を撮って、家に帰ってから少し寂しくなってしんみりとしたと思う。閉店のあたりから私も忙しくなって来ていたので、今思えばこれも何かの思し召しだったのかもしれない。

 

素敵な2人が営んでいたお店の名前は「needle kitchen」。この火曜夜の時間のおかげで私の京都生活はうまく始動することができた。今でも忘れない。本当に心からありがとうと思っています。

今もお二人はどこかでお店をしたりしているのかな。また会えたときに私のことを覚えていてくれたら嬉しいな。またどこかで会えるといいな。その時は改めてちゃんと感謝の気持ちを伝えよう。

 

 

今調べてみるとリバーサイドカフェ自体は今でも続いていて、昨日で8周年を迎えたらしい。京都に行く機会があれば再び訪れてみようと思う。

このお店のことを何かに残しておきたかった。やっと少し思い出の整理が進んだ気がする。

ありがとう、今更ですがさようなら。また会う日はぜひ笑顔で会いましょう。